先日、夕方に何気なくテレビを付けていたら「障がいを持つ方の親なき後」について特集されていました。私にも、重い知的障がいを持つ姉と、段々歳を重ねている親がいるので、まさに自分が直面している問題です。
重度障がい者の主な介護者は高齢の親
番組によれば、現在重度の障害を持つ方に対し、介護を行うのは親が大半とのことでした。その親も段々と歳を取っていきますので、親なき後、さてどうしたものか、ということです。うちの場合も例に漏れず、親が介護を行っています。
私の親はまだ仕事をしていて「今すぐどうにかしなくては」という状況ではありませんが、どうにもならなくなってからでは遅いですよね。姉と親は、私と離れた場所に住んでいますし、私にも家庭や仕事があるので、いざ急にどうにもならなくなってしまうと困ってしまいます。
一人残されるとどうにもならない
親なき後、とまでいかなくても、万が一親が意識でも失って入院するとなると、残された障がいを持つ方はどうなってしまうのでしょう。状況にもよりますが、私の場合は即日困ったことになります。姉は昼間、事業所への通所を終えると送迎して頂いて帰宅しますが、鍵を持っていないのでまず家に入れません。電話も扱えないので、事業所のスタッフの方がなんとか私に連絡をしてくれるかもしれませんが、その日姉はどこに泊まれば良いのでしょう。誰が面倒を見てくれるのでしょう。
私が姉の元へ駆けつけることが出来るのは、最速でも半日程かかります。姉が事業所の中にいる時間帯なら良いですが、帰宅時間になったらどうでしょう。いつもお世話になっているショートステイなどに泊まるしかないかとは思いますが、親がいないとその手続きも周りの方々に大変なご迷惑をお掛けすることになります。「1日だけ待ってて」「明日には行くから」などという余裕さえありません。更には、姉がどこかへの入所が決まるまで、親の代わりに家で面倒を見なくてはいけないのです。冷たく聞こえるのかもしれませんが、自分の生活もある中で、急に遠方へ呼び出されて、何日間も何週間もなんて、とても出来ません。
親の葛藤
親自身も「いつかはなんとかしなくては」と考えているようですが、なかなか踏ん切りがつかないようです。理由として「できるだけ綺麗な所へ入れてあげたい」「本人に合う所へ入れてあげたい」「単純に離れるのが寂しい」など色々とありますが、根底にあるのは「不安」です。今まで何十年と親が面倒を見てきて、それと同じように本人を理解して愛を持って接してくれるのか、本人が悲しい思いをせず楽しく暮らしていけるのか。いくつになっても親は親です。子供が可愛いのです。
共生型グループホーム
私の親は「一緒に暮らせる施設があればなぁ」とよく言っています。介護と障がい福祉、法律が絡んでくるので一筋縄ではいかない問題ですが、実際に「共生型」として支援を受けながら高齢者と障がい者が一緒に暮らすグループホームもあるようです。ただ今のところ、設立までにはかなりの労力がかかる為、日本にどれくらいの数があるのか…というレベルですが。今後需要が高まり、共生型のグループホームが増え、障がいを持つ子と高齢の親が一緒に入所できるようになれば「親なき後問題」も少しずつ解消に向かうかもしれませんね。
今できること
共生型のグループホームが増加すれば良いなぁ、とは思いますが、一朝一夕に増えることはありません。そこで前述の番組によれば「親のエンディングノート」が紹介されていました。困ったときの相談先や利用しているサービスの詳細に加えて、「自分を傷つけることがある」など情報を事細かに記しておくことで周りの方へ本人の情報をスムーズに伝えることが出来るとのことでした。行政によっては障がいを持つ方のご家庭に積極的に配布しているようですね。早速、私も自分の親へ作成を依頼しようと思います。
課題はたくさん
グループホームを設立する際も、しばしば近隣住民の方から反対を受けることがあります。法律が変わっても、制度が変わっても、うまくいかないことがたくさんあります。それでも私は、障がいを持つ方も、そうでない方も、みんな楽しく暮らして欲しい。家族の皆さんにも自分を犠牲にせず、自分の人生を大切にして欲しい。当事者として、そして障がい福祉に携わる行政書士として、自分に出来ることは何だろう、と模索しています。
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